久しぶりの対面での理事会で考えさせられたこと

―親はレット児者である子どもにどう向き合うべきかー

                  ⽇本レット症候群協会理事  松本和剛

 先⽇ 7 ⽉ 9 ⽇、5家族 10 ⼈が静岡に集まり、対⾯での理事会が 4 年ぶりに⾏われ、様々な話をしました。そのなかで「歳を重ねた」親としての意⾒がありました。「⻑⽣きして娘をみたい(ケアしたい)」「⽼化との戦い」「⾃分(親)が健康でないと」「親と⼦の⻑⽣きの競争」などなど。とても切なかったです。なかでも「私たち(親)が、⼦どもから離れることが課題になってきた」の⾔葉にドキッとし、「歳を重ねた」からこその課題だなと感じました。これまで親たちは懸命に⼦どものケアを⾏ってきました。公的な⽀援の少ない時代には、仲間とともに活動しつつも親が⼦どもを⽀えてきました。現在でも公的⽀援が⼗分であるとは⾔えず、ケアラーとしての親の役割は重要です。 

 しかし、「親ばなれ⼦ばなれ」の視点から⾒ると、親・きょうだい以外の他者(仲間)にそのケア役割(親役割)を少しずつ移していく時期なのかもしれません。レット症候群という重度の機能障害があろうとも、また社会的な「⽣きづらさ」があろうとも、⼦どもには仲間をつくって⼈⽣を楽しむ権利があります。今以上に⼦どもを信じて、⼦ども⾃⾝が⾃らの⽣を楽しむ範囲(選択肢)を拡げるためにも、「べったり」愛情な親⼦関係から、愛情深いけども「あっさり」な親⼦関係への変容が必要なのではないでしょうか。親と⼦は物理的に離れなくても、親は⼦どもの⼈格を認め、ひとりの成⼈した⼤⼈として接することができれば、同じ屋根の下に⼀緒に住んでいても「親ばなれ⼦ばなれ」できていると思います。

 「親ばなれ⼦ばなれ」することで、少なくとも精神的に離れることにより、⼦どもの⽣きる選択肢が拡がり、親もまた⽣きる選択肢が拡がります。そして、親が幸せな⼈⽣を送ることにより親⾃⾝に余裕ができ、その結果、⼦どもも幸せに⽣きることができると考えるからこそ、「私たち(親)が、⼦どもから離れることが課題になってきた」という⾔葉が⾶び出したのでしょう。

 今後も皆さんと⼀緒にこのことについて考えていければと思います。今回の理事会で、とても有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました