レット姫の施設入所について

■はじめに

レット姫の施設入所について、日本レット症候群協会の田中さんからのお話を受けて、娘のケースについて紹介させていただくことにしました。

レット姫を持つ親御さんは、

①発症期は、病気の正体と治療法を探すことが最大の課題

②病名が分かってからは、よりレット姫の齟齬しやすい特別支援学校探し

③学校の卒業が近づくと、社会との接点を保つための通所施設探し

④施設通所し始めると、親が衰えたときの終の棲家探し

⑤親無きあとのレット姫の生活(成年後見含む)

を考えていくことになると思います。

今回は、我が家の「終の棲家」探しを紹介させていただきます。

レット姫が入所する施設は、数が少なく、また、高齢の方が入所する施設と違い、入所期間が長きにわたるため、なかなか空きが出ないのが実情です。

住んでいる地域ごとに、施設の状況は異なるかもしれませんが、

①早期の条件整理

②早期の候補調査着手

③入所に向けた具体的な行動

④施設へ送り出す親の覚悟

が必要と思います。

このため、なるべく早く自分たちの条件を整理し、施設探しを始めることをお勧めします。

 

■入所決定まで

我が家の場合は、特別支援学校を卒業して、通所施設への通所が始まった時点から、終の棲家を考え始めました。

条件としては、

①自宅から車で1~2時間以内のところ(必須)

②医療的ケアが行える(できれば)

③契約に成年後見人が不要なところ(できれば)

を考えていました。

なぜ、この条件なのかは、

①→面会や季節ごとの衣類の入れ替えなどが容易にできること

②→癲癇の発作があるため、投薬治療や、発作がでた時の対応ができた方が良い

医療機関が付属していないと、投薬のための通院が別途必要となるため

③→現行制度では、親は成年後見人になれない確率が高く、年金収入しかない娘に

契約のためだけに成年後見人を付けたくない。(最低でも年金の1/4必要)

となります。

娘が、就学時からリハビリ(理学療法、作業療法)で、お世話になっていた病院は、幸いにも、「医療機関(病院)が併設された医療型障害児入所施設及び療養介護事業所」の病院でした。

当然、検討時点では、施設に空きは無く、当分空きは出ない模様で、当時、入所希望者が私たちの前に10人ほどいました。

入所の目的のため、高校卒業直後から、この施設に毎月ショートステイを申し込み、当選したら、1泊するということを続けました。(2~4回/年くらい)

25歳ころに、施設に入所する意思を明確に施設に伝えたところ、入所するためには、短期入所の実績を積む必要があるということで、2泊3日の短期入所も、1~2回/年行うようになりました。

2022年に2週間、2023年に3週間の短期入所の利用が可能との連絡があり、実績を積みました。

今、思えば、入所に向けた施設側が適性の確認を行っていたのかもしれません。

平行して、2022年ころから、ケアマネ相当の方に、新しい施設開所の情報があったら教えて欲しいと依頼しておき、開所されたところに見学に行ったりし、第一希望の施設以外の選択肢探しも始めました。

(ケアマネ相当:ケアマネが足りず、通所やヘルパーの計画を役所に代理提出してくれる事業者)

2023年9月には腹膜炎が発覚し、3週間ほど入院して抗生剤による炎症対策を行い、1月に盲腸の除去手術を終え、ホット一安心した、2月に、突然、第一希望の施設から、4月から入所が可能になるが、入所の意思があるかを1週間以内に回答してほしいという連絡がありました。

この機会を逃すとチャンスは無いと考え、入所を即決しました。

2020年2月のコロナが本格化する前に、家内がヘルニアによる腰痛で2か月ほど動けなくなり、その後、整体で継続治療が必要になり、長女の介護にも限界がきつつありました。

また、長年、毎年のように高熱を出していたのは、腹膜炎を起こしていたか、尿の逆流による腎臓の炎症の可能性もあり、盲腸の手術、尿の逆流検査も同時に終え、体の状態が整ったことも、何かの潮時と感じました。

 

■入所決定から入所するまで

入所を決めてから1か月は旅行など思い出作りをし、その後、本人に伝えたところ、分かったと返事はしましたが、入眠前に満面の笑みを見せたり、ちゃんとやるから、また一緒に居てと言っているようでした。

入所に伴い、施設の人に、どのようにケアして欲しいかを資料にまとめました。

資料作りを始めたところ、自分のことを、ちゃんと伝えようとしてくれる父母の行動に安心した様子になってから、入所となりました。

作成した資料は、入所時にバインダーにまとめて、施設の方に手渡し今後のケアをお願いしました。

 

■入所後

最初の1か月は、毎週末に外泊申請して家に連れて帰りましたが、ゴールデンウイークに入ったところで、施設内にコロナ患者が出たため、11日間の長期外泊となりました。

毎週末よりも、1回/月に1週間ほど外泊する方が良いと思い直し、現在は、毎週末に面会に行き、月のどこかで1週間ほど外泊というパターンにしています。

まだ、コロナの警戒がされているので、毎週木曜日の午後にコロナの感染状況を勘案して、施設側で面会・外泊可能かの判断が行われています。

施設内でコロナが発生すると、10日間は面会・外泊禁止となります。

だいぶ施設には慣れたようですが、やはり寂しいようで、母が音声で絵本朗読や、一緒に出掛けたときのお話をビックマックという音声を再生するスイッチに吹き込んで、毎週、施設の方に渡していますが、ビックマックで母の声を聴くと、表情がパッと明るくなると、施設の職員さんから聞きました。

親と同様に、やはり寂しいけれど、親の前では気丈に振舞っているのだと感じます。